貨幣数量説と流動性選好説 物価決定の法則
「物価」って何?
今日は、皆さんに経済を考える土台としての二つのテーゼ(大きなテーマ)として、「物価」について話をしたいと思います。
「今、2つと言ったじゃないか! なんで1つなんだ!?」
というふうに思われた方もいるかもしれませんが、そこはひとまず置いておいてください。順に説明していきます。
概要
本題に入りましょう。「物価」というと物の値段のことだ!というのはふんわりご存じの方が多いと思います。
ですが多くの方は、それがどのように決まることなのはご存知ないでしょう。経済というのはこのようなふんわり煙に巻く言葉が多いです。なので熱意のある方でないと理解し辛いんですよね。
ならばはっきりしてしまおう!というところででてくるのが今日の本題、2つのテーゼです。
対を成す二つの理論
この二つのテーゼは、互いに相反するアンチテーゼとなっています。どのようなアンチテーゼなのかというと、物価の決定や変動がどのように起こるのかというメカニズムに対する考えの対立です。
さて、その物価がどうやって決まるのか、という見方の一つが
貨幣数量説
という考え方です。
貨幣の数、例えば日本なら国内に存在するモノの量と世の中に何円のお金が存在するかのバランスによって物の値段が決まるという考え方です。
例えばここで、AさんとBさんしかいない世界を考えてみましょう。
Aさんが10円とみかん、Bさんが15円とりんごをそれぞれ持っていたとします。
自分で自分の所持品は買えないので、貨幣数量説の世界では互いの貨幣と商品(果物)がセットになります。
すなわち、みかんが15円でりんごが10円ということになります。
次に、このアンチとして対を成す考え方に
流動性選好説
というのがあります。
ある人が売って得たお金は、当然別の物を買うのに使ったりする訳ですが、そのようにお金の総量やモノの総量より、モノの需給バランスに重きを置いた説です。
なので、これは貨幣の数量よりも、その貨幣がどれだけ動いているかが大事だという考え方です。
先程の例に戻って、Aが10円でりんごを買い取ったとしましょう。すると、Bだけが貨幣を25円所持しており、Aが果物を両方所持しています。
さて、これでも値段は一緒でしょうか。
いえ、実はモノの値段が変化しています。
流動性選好説ではなぜ値段が変化?
良く考えてみてください。Bはりんごを売り払ったくらいなので、あまり欲しいと思ってないということですよね。当然、買い戻したりしません。なので、Aが持つりんごには値段がつきません。需要が無いということですね。
逆に言うと、AはBが25円出せるのを分かっていれば、元の15円よりも高い値段で売り付けてもいい訳ですよね。
このように、需要=買付けに使えるお金の額と欲されているモノの量のバランスによって値段が決まるのだ、と言うのを流動性選好説といいます。もう少し細かく言うと、何が欲されてて、実際に使われるお金がいくらですか、と言うこと。この場合では、25円が流動的なお金需要、みかんが供給(モノ)になるわけです。
こちらはケインズと言う人が言い始めた理論で、何よりも需要が大切だと主張した人です。
ここまでの説明では、「良く分からない」とか、「これが分かったから何?」と思われるかも知れません。しかしこれは、現代経済を見る上で最も根本的な対立概念なので、ぜひ押さえておいて欲しいと思います。
まとめ
まとめると、物価決定の考え方は2種類あって
①貨幣数量説
モノと貨幣の総量によって決まる。
②流動性選好説
幾らの貨幣でどれだけのモノが買い付けられるかの流動性が大事。
という考え方。
そして、人々が貯金をすることや、モノが溢れる世の中になっていることを考えると、全ての金やモノが市場に出るわけではないので、②の商品貨幣論が支持されています。
次の記事からはこれをもとに、更に経済について解説していきたいと思います。